転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


246 お水をませても使えなくならない原因は?



「それでは娘さんたちをお預かりしますね」

「はい、よろしくお願いします。あなたたちもペソラさんの言う事をよく聞くのよ」

「は〜い! じゃあお母さん、行ってきます」

「行ってきまぁ〜す」

 お昼休憩の後、お姉ちゃんたちはペソラさんと一緒にお買い物へお出かけ。

 街に住んでるお姉さんが、女の子ならきっとみんな大好きだよって言うお店に連れて行ってもらえるって事で、二人ともモノ凄き楽しそうに出かけてったんだ。

 でね、僕とお母さんはそのまま錬金術ギルドでお留守番。

 だって午後からはロルフさんが来るってバーリマンさんが言ってたし、そしたらお肌つるつるポーションのお話をしないといけないからね。


「おや? めずらしのぉ、ルディーン君。今日は魔法で来たのではないのかい?」

 ロルフさんはバーリマンさんが言った通り、午後になってから錬金術ギルドに来たんだけど、そしたら僕がいたもんだからびっくり。

 でも、すぐに笑顔になって僕に話しかけてきたんだ。

「うん! 今日はみんなで馬車に乗ってきたんだよ」

「おお、そう言えばラファエル、いや、グランリルの司祭がその様な事を言っておったのぉ。なるほど、では君の横にいるのが親御さんかな?」

「はい。ルディーンの母のシーラ・カールフェルトと申します。いつもルディーンがお世話になっているそうで、ありがとうございます」

「これはご丁寧に。わしはロルフと言う隠居して暇を持て余しておる年寄りじゃよ。それと、ルディーン君にはわしらもいろいろと助けてもらっておるからのぉ。まぁ、お互いさまという所じゃ」

 ロルフさんに初めて会ったもんだから、お母さんは初めましてのご挨拶。

 でね、その後になんでか、僕が迷惑をかけてない? って聞いたんだよ。

「お母さん。僕、悪い事なんてしないよ!」

「そうじゃのぉ。ルディーン君はいつも良い子じゃ」

 だから僕はお母さんに文句を言ったんだけど、そしたらロルフさんも笑いながら、いっつもいい子にしてるよって言ってくれたんだ。

「そうですか。ならいいのですが、この子はときどき私たちが思いもしない事をしでかしますから」

「うむ。それは確かにそうなのじゃが、それもわしらからすると楽しみの一つでのぉ。次は何をして驚かせてくれるのかと、常々考えておるのじゃ」

 よく解んないけど、ロルフさんは僕を見ていっつも楽しんでるみたい。

 でも何でそんな風に思われてるのか解んないから、僕は頭をこてんって倒したんだ。

「ほらほら、ロルフさんがそんな言い方をするものだから、ルディーン君が不思議そうにしているじゃないですか」

 そんな僕を見て、バーリマンさんがロルフさんにそう言った後、

「ルディーン君は私たちが知らないお菓子を作ったり、大人では気が付かないような視点でいろいろな事を私たちに教えてくれるでしょ? ロルフさんはそれを聞いて驚かされるのが楽しいと言っているのよ」

 僕にロルフさんがなんで楽しいのかを教えてくれたんだ。

 そっか。そう言えばお菓子だけじゃなくって、内臓のお肉を持ってきた時とかも喜んでたもん。

 お姉ちゃんたちに僕が新しいお菓子を作ってあげると喜んでくれるのと、きっとおんなじなんだろうね。


「ところで、ギルマスよ。ルディーン君の親御さんがここにいるという事は、ルディーン君が持ち込んだポーションの研究に何か進展があったという事かな?」

 お母さんがここにいるって事で、ロルフさんはバーリマンさんと同じようにお肌つるつるポーションをお水で溶く実験がうまくいったんじゃないかな? って思ったみたい。

 でもね、それを聞いたバーリマンさんは、ちょっと困った顔になっちゃったんだ。

「それが、そうでもないんですよ」

「ふむ。一体何があったのじゃ?」

 そこでさっきお母さんに村でどんな風に水で溶いてるのか聞いたり実際にやってみてもらったりしたんだけど、でもうまくいかなかったんだよって話したんだ。

「なるほどのぉ」

「しかし、カールフェルトさんの肌や髪を見る限り、私には村では効果が出ているように思えるのですが……どう思われますか?」

「うむ。確かにその様じゃのぉ」

 お母さんの顔を見ながら、頷くロルフさん。

 でね、ちょっと考えた後、バーリマンさんにこう言ったんだ。

「村では効果が出ているのにここでは出ない。となると、いくつか仮説が立つな」

「それはどのような?」

「そうじゃのぉ。このような実験をして違う結果が出る原因として考えられるのは大きく分けて3つ。環境、工程、材料じゃな」

 ロルフさんは指を折りながらそう説明したんだけど、でも今回の場合、その内の二つは当てはまらないって言うんだよね。

「環境に関してじゃが、これは暑かったり寒かったり、湿度が高かったり低かったりと大きく環境が違う場所で実験が行われた場合に起こるのじゃが、グランリルとイーノックカウではそこまでの気候の違いはないからのぉ。これはまず考えられんじゃろう」

「ですが、グランリルの村の近くにはここよりも強い魔力溜まりがあります。それが影響しているというのは考えられませんか?」

「いや流石にそれはないじゃろう。もし実験に関係する程空気中に魔力が含まれておるならば、村の周りの動植物は当然変種つしておるじゃろうからな」

 場所が違うって言っても、馬車で数時間あれば着けるくらいの距離なんだから、これは関係ないんだって。

 あとね、お母さんが村でやってるのと同じようにやってみても失敗したって事で、工程も実験が失敗した原因じゃないそうなんだ。

「と言う事は、材料が原因という事になりますね」

「うむ。この場合はポーションと水じゃな」

 と、ここまではずっとバーリマンさんたちだけでお話してたんだけど、それを聞いたお母さんが我慢できなくなってロルフさんに質問したんだ。

「ですが、水と言ってもうちの村で使っているのは村の中を流れている川で汲んだ、ただの水ですよ?」

「うむ。となるとポーションが原因と言うのが一番可能性が高いようじゃのう」

「それはおかしくはありませんか? だってこの肌用ポーションはルディーン君しか作れないものなのですから、村で使われているものとここにあるものは同じはずではありませんか」

 お母さんの話を聞いてロルフさんがポーションが原因だねって言ったら、今度はバーリマンさんがそれは違うって言うんだよね。

 でも確かに両方とも僕が作ったんだし、バーリマンさんが言うとおり、おんなじ物じゃないとおかしいよね。

「確かに一見同じもののように思われるが、実験に使う材料として考えた場合、この二つには大きな違いがあるのじゃよ」

「違いですか? それは一体?」

「うむ。それはな、時間じゃよ」

 この錬金術ギルドにあるお肌つるつるポーションは前に持ってきたやつだから、僕が作ってからかなり時間が経ってるんだよね。

 でも村では毎日お風呂で使ってるんだからすぐになくなっちゃって、僕が新しいのを作ってるんじゃないの? ってロルフさんは言うんだ。

「確かに村では日常的に使っているので、よくルディーンが新しいのを作ってますね」

「やはりそうか。ではやはり、時間が経つにつれて何かしらの成分が抜けて行っておるのじゃろう」

 お母さんが村ではいつも僕が作ってるって話をしたもんだから、ロルフさんはやっぱりお肌つるつるポーションが原因だって思ったみたい。

 でね、今日は僕がいるから、実際に作って比べてみようって話になったんだ。

「新しいポーションが作れるだけでなく、わしらと違ってルディーン君は鑑定解析が使えるからのぉ。より詳しい事が解るじゃろうて」

 と言うわけで、さっそくお肌つるつるポーションを作ってみる事に。

 ただ流石にセリアナの実は錬金術ギルドに無かったから、お母さんが買いに行こうとしたんだよ。

「いや、わざわざ客人に買いに行ってもらうわけにも行くまいて」

 でもね、ロルフさんはそう言ってお母さんを引き留めると、錬金術ギルドのドアを開けて、

「どうせ誰かおるのじゃろう。出てまいれ」

 いきなりそんな事を外に向かって言ってんだよ。

 そしたらほんとに二人の男の人が来てびっくり。

 でもそんな僕に、バーリマンさんはあれはロルフさんを守ってる人たちなのよって教えてくれたんだ。

「ルディーン君も知っている通り、ロルフさんはお金持ちですからね。一人でこのギルドに来ているようでも、いつもあのように誰かしらがついてきているのよ」

「そっか。一人だと危ないもんね」

 そう言えば僕がロルフさんのお家からここに来る時だって馬車で送ってもらうし、いっつもストールさんがついて来てくれるもん。

 それなのにロルフさんが一人で歩いてくる訳ないよね。

「ちと実験に必要になったのじゃ。人をやって買って来てくれぬか」

「畏まりました」

 でね、ロルフさんはその人たちにセリアナの実をいくつか買って来てって頼んだんだ。


247へ

衝動のページへ戻る